来春センバツの重要参考資料となる秋季高校野球東北大会(秋田・こまちスタジアムほか)が今日13日、雨天順延のため仕切り直して開幕する。3年連続3度目出場の弘前東(青森2位)は12日、古川(宮城2位)との初戦(明日14日)に備え、秋田市内で練習。俊足巧打のリードオフマン須藤滉生外野手(2年)は“プロ並み”の一塁到達3秒7を誇る。機動力野球の中心となる「津軽の弾丸」が、初のセンバツ切符獲得へ発射する。

「1番中堅」須藤が「津軽の弾丸」を襲名だ。50メートル6秒1に加え、立ち幅跳びも2メートル60センチを超える強力な弾道。左打席からバットの“引き金”を引けば、一塁到達は最速で3秒7。プロ野球選手でも4秒を切れば俊足と評価されるだけに驚異的記録。「つなぐ打線の最初は自分から始まる。チャンスメーカーでもあり、ポイントゲッターにもなりたい。足でチームのリズムを作って、本気で甲子園を狙います」と意気込んだ。

東北大会出場を決めた青森県大会準決勝でも、2安打1四球4盗塁4得点と本領を発揮した。昨夏まで「津軽の大砲」としてチームを引っ張った高校通算48本塁打の桜庭佑希也外野手(3年)のような長距離砲はいない。新チームは長打はなくても、走塁やバントを駆使して勝ち上がってきた。「桜庭さんは俊足に加えてホームランも打てたので大砲。でも僕は体も小さくて細いし、仲間からは『拳銃だな』って冷やかされています」。相手の嫌がるプレーの“命中”率は上回れる自信もある。

弘前の大地で脚力を得た。遊びは鬼ごっこ。逃げ回ることで速さを身につけると「最後まで逃げてばかりでつまらなくなった」。常に鬼役に立候補して、標的をとらえる喜びも知った。校内運動会で圧倒し、弘前市内の陸上大会でも表彰台に立った経験もある。

初戦となる2回戦で対戦する古川に対し「進学校で頭の良いチーム。ミスは少なそうですが、野球で負けるつもりはない」。「弾丸」が相手の急所をついて接戦を勝ち抜く。【鎌田直秀】