古川(宮城2位)が延長10回、4-3で弘前東(青森2位)にサヨナラ勝ちし、前回出場以来となる57年ぶりの1勝を挙げた。9回表には尾形爽外野手(2年)が左翼から本塁への好送球で勝ち越しを封じるなど、無失策の守備陣がエース右腕・千坂優斗(2年)を援護。押し出し四球でのサヨナラ劇につなげた。8強が出そろい、今日15日に準々決勝4試合が行われる。

延長10回裏、2死満塁。守備で二ゴロを8個アウトにした熊谷光翼内野手(1年)が押し出し四球を選ぶと、一塁側に向かって両拳を握った。「9番打者の役割を果たせてホッとした」。ベンチから仲間が駆け寄り、スタンドからは創立120周年を誇るOBや父母らの大歓声と拍手を浴びた。それでも三塁走者のエース千坂は冷静で、打者は一塁に、走者は次の塁まで走ることを指示し、自身は何度も本塁を踏んでサヨナラの歓喜の輪に加わった。

前回出場の1961年秋、磐城(福島)との1回戦で2-1と勝利して以来の校歌を歌った。甲子園準優勝の金足農(秋田)のように、体を反らして全力で。スタンドでは第1試合で敗れた大崎中央の選手たちも“友情応援”で加わり、背中を押してくれた。千坂は「OBの方たちの期待を重圧に感じるのではなく、力に変えていこうとやってきた。大崎中央にも感謝。粘り強さは、みんなが一枚岩になれたから」と喜んだ。

仙台育英との県大会決勝で、失策も絡んで3-17。守備の再構築が結実した。9回表には左翼の尾形が窮地を救った。尾形は「カットマンの頭を狙って、ホームにワンバウンドで送球する練習を何度もしてきた。まっすぐいってくれ~って感じでした」。週末の練習試合以外の週5日は、守備練習しかしない日々。外野手は30メートル近くをダッシュして投げやすい位置でゴロを捕球する反復。内野手は「育英の走者を意識」をテーマに、捕球から送球の速さを求められた。熱が入りすぎて、選手間ミーティングでは涙を流しながら議論することもあった。

準々決勝では秋田修英(秋田1位)と対戦する。千坂は「助けてくれる仲間っていいなあって思いました。今日のプレーはセンバツにつながる」。春夏通じて初甲子園へ、結束力で歩みを進める。【鎌田直秀】