プロ注目の創志学園(岡山)・西純矢投手が9日、丸亀城西(香川)との練習試合に先発で今季初登板し、心身ともに成長の跡をうかがわせた。NPB8球団スカウトが見守る中、5回1安打8奪三振で無失点。以前のような荒々しい姿をマウンド上で見せることなく、自己最速にあと1キロと迫る149キロを計測した。

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一冬を越え、西が新たなスタイルを印象づけた。初回の先頭打者を手始めに毎回の8奪三振。昨夏の甲子園で1試合16奪三振の実力は何も変わらない。だが、「全力で腕を振っていた」という直球は「力を抜いて、力感ないフォーム」で投げることを意識。甲子園では投げる度に帽子が“飛んでいく”シーンも目立ったが、この日はそんな場面もなかった。「140(キロ)前半のイメージで投げていた」という中、自己最速まであと1キロに迫る149キロを計測した。

直球だけでなく、カーブも織り交ぜ、5回無失点。「腕を振ってもブレーキの利いたボールが投げられていた」。冬の課題としていた変化球で手応えもつかんだ。何より、精神面で違いが見られた。昨夏の甲子園では派手なガッツポーズを注意され、昨秋の中国大会では自滅。しかし、この日は味方にエラーが出ても「切り替えていこう」と声をかけるなど、どこまでも冷静だった。

「(以前は野手が)エラーしたら放っておくというか、そっとしておくところがあった」と、過去の自分を分析。メンタルトレーニングで学んだ「自分から声をかけるように」を心がけた。長沢宏行監督(65)も「帽子も脱げないし、ガッツポーズもせん。大人の投球」と目を細めた。

視察した阪神山本スカウトも「間違いなく上位候補」と高評価。四天王の一角から主役となる可能性も感じさせる初投げだった。【奥田隼人】

◆西純矢(にし・じゅんや)2001年9月13日生まれ。17歳。広島県廿日市市出身。184センチ、85キロ。右投げ右打ち。ヤングひろしま-創志学園。

目標は前田健太。気合満点の投球スタイルで150キロを投げ込む剛腕。2年夏の甲子園で16K完封。