センバツ初出場の筑陽学園(福岡)が初戦突破を果たし、春夏通じて初めて甲子園での勝利を手にした。94年夏の甲子園準優勝投手、福岡真一郎氏(42)の長男、福岡大真(たいしん)外野手(3年)は好捕、マルチ安打と攻守に活躍。先発西雄大投手(3年)の無四球2失点完投とともに、メモリアル勝利に貢献した。

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父も立った大舞台を思い切り楽しんだ。筑陽学園の福岡が初センバツで甲子園初勝利。「思ったほど緊張しなかったし、楽しめました」と3打数2安打に胸を張った。父は、94年夏の甲子園で準優勝した樟南(鹿児島)の右腕エース。長男も攻守にわたり躍動した。

甲子園初打席の2回。初球をたたいての左前打で先制点を演出した。「初球から外の直球がくるのを狙っていた。逆方向への強い打球をテーマにこの冬にやってきたのでうれしい」。3回は守備で魅了した。

2死走者なしで、右中間への大飛球を逆シングルでキャッチ。中堅手と交錯して倒れながらも、球は離さなかった。「甲子園は右翼頭上とバックスクリーンで風向きが違っていた。打球も少し押し戻されたけど、うまく捕れました」。風をしっかり頭に入れてのファインプレーだった。

父から大阪出発前に「甲子園はすぐ終わるから楽しめ」と言われた。第1打席で安打を放ち、守備でも最初の飛球で好捕。助言もきっちり生かした。チームのトレーナーでもある真一郎氏は一塁側アルプス席で観戦し「まだまだですよ」。長男の活躍に謙遜したが、サングラスをかけて観戦すると「チーム無敗」という験を担ぎ、最後まで外さなかった。

福岡の打席での応援団テーマソングは、OBでもある広島長野久義外野手(34)と同じだ。「甲子園仕様として自分からすぐリクエストしました」。2回戦は猛打で初戦突破した山梨学院。「打ち負けないようにしたい」と8強入りに鼻息を荒くしていた。【浦田由紀夫】