4月から山田孝次監督(35)が新たに就任した埼玉栄が、県大会初戦を突破した。

勇退し、ベンチ入りすることがなくなった若生正広総監督(68)からは「自分のやりたいようにやれ」との言葉があったという。若生氏の監督着任直前の13~15年にも指揮をとっていた山田新監督は「不運な併殺もあって、あと1点取れませんでしたが、ほとんどやりたいようにやれたと思います」と胸を張った。試合終了後は、所用で観戦できなかった総監督に電話で勝利を報告した。

「若生総監督のもとでコーチをやり、学んできました。それを引き継いでいきたい」という山田新監督同様に「自分たちは若生先生から教わった野球を徹底できているので」と話すのは、貴重な中押しソロを放ったプロ注目・北口恭輔遊撃手(3年)だ。

中学は名門の大阪・羽曳野ボーイズ出身。「若生先生に誘っていただけたので」と埼玉栄へ進み、成長した。若生総監督も「北口は将来プロを狙える選手」と期待をかけている。本塁打はまだ高校通算3本ながら181センチ、75キロの均整のとれた体格には華があり、この日視察した楽天沖原スカウトも「打撃でも守備でもクセがないのがいい」と評価した。

巨人坂本勇にあこがれ、山田新監督も「動きがハツラツとしていますし、前向きな選手です」と頼りにする存在。北口は「勝っていくしかない。どんどん攻めていこうと思います」と話し、球場を後にした。