「スマイル軍団」学法石川が、窮地から逆転勝利をものにした。1-2とリードされた9回表2死一、三塁でもチームに悲壮感はなかった。

1点に封じられてきた東北先発の石森健大投手(3年)が降板し、同じ左腕の伊藤康人(3年)がマウンドに上がっても桑山武冴志主将(3年)は笑顔で打席に向かった。2球目の内角低め直球を捉えると中前に鋭くはじき返し同点。さらにイケイケムードで暴投を誘い一気に逆転した。桑山主将は「緊張はしませんでした。笑顔を意識するようになってから、何点差がついていても負けない雰囲気になってきた」とスマイル効果を認めた。

まるで名将の魔法にかかったかのようだ。昨年11月、仙台育英(宮城)で春6回、夏13回の甲子園出場で通算29勝を挙げた佐々木順一朗監督(59)が就任。仙台育英時代に見ていた選手のイメージは「もうちょっとヤンチャだと思っていた」が、実際には「素直ないい子ばかりでした」。吸収力のある選手たちに意識改革から始めた。「技術は急にうまくはならないが、精神的には変われる。劣勢の時ほど元気に行こう」と常に笑顔を求めてきた。「最初は自分が無理やり言っていたけど、今では選手から、まだまだ行けるというムードになってきた。今日もいい試合でした」と穏やかな笑顔を見せた。

就任時には「はってでも甲子園に行くぞ」と声をかけた。照準は今年の夏。就任即甲子園を狙う。「僕の出番はそろそろ終わりで、あとは選手が自主的にやってくれればいい。笑顔の先には明るい未来が待っているってことが分かってきたでしょう」と、手応えがにじみ出た表情を見せた。【野上伸悟】