高知中時代に軟式史上最速とされる150キロを記録した高知の怪物・森木大智投手(1年)が、龍谷大平安との練習試合に先発し、9回3安打4奪三振で1失点だった。高校入学後、初めての9回完投。今春の選抜大会に出場した奥村真大内野手(2年)らをそろえた打線相手に、堂々の結果を出した。

硬式でも最速149キロを誇る右腕。この試合の最速は序盤に計測した143キロだった。「7、8割の力で。全イニング通して打たせて取る投球を意識した」。制球は安定。ボールを低めに集め、4回まで無安打無失点。1点リードの5回表、2死から失策で走者を許すと、8番打者に中越え適時二塁打を浴び、同点とされたが失点はこの1点のみ。

森木といえば「150キロ右腕」のイメージが先行するが、この日は球速を抑えてコースをつく丁寧な投球だった。「7、8割の力だったので、コントロールしやすかった。インコースを使えていけた」。打者32人に対して内野ゴロは16個。2、5、9回以外は3者凡退に抑えた。2回に1つ死球を与えたが、四球は0だった。速球だけが特長ではない、投球能力の幅の広さも見せた。

この春に高校に入学したばかり。試合後「コースをしっかりつかないと、こういったレベルの高いチームとはやれない。力感(力量)が分かったので、高さ、ボールのキレ(の精度)を上げたい」。まだあどけなさの残る顔で冷静に振り返った。

試合後、4打数無安打に抑えられた奥村は「1つ下なので年下に負けたくなかった。振っていこうと気持ちが前に行って打ち方がおかしくなった」。龍谷大平安の原田英彦監督は「変化球を打てと言ったけど、タイミングが取れない、腕が振れている。完成されている」と舌を巻いていた。

◆森木大智(もりき・だいち)2003年(平15)高知県土佐市生まれ。蓮池小3年時に高岡第二イーグルスで軟式野球をはじめ、内野手や捕手、投手。高知中では1年時から投手。3年時に春夏の全国大会を制覇。184センチ、81キロ。右投げ右打ち。両親と姉。