第101回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の南北海道函館地区組み合わせが10日、北海道10地区のトップを切って決まった。

2年ぶりの南北海道大会出場を狙う函館工は、初戦の2回戦で、七飯-函館中部の勝者と対戦する。今春の北海道大会は甲子園6度出場の古豪苫小牧工が、23年ぶり出場で準優勝と躍進。夏は、同じ公立工業高校で甲子園5度出場の函館工が、63年夏以来56年ぶりの甲子園切符をつかみにいく。

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令和元年、古豪函館工が、半世紀以上遠ざかっている聖地切符を狙う。3月に19年最初の練習試合で対戦した相手が苫小牧工。2試合で1勝1敗と互角だった。エース佐々木柊二主将(3年)は「苫工の活躍を見て、プロ注目選手がいなくても、全員が特長に応じてやるべきことをやれば勝てるんだと思った。同じ公立工業高として刺激を受けた」と言う。

昨秋の北海道大会は初戦突破で16強入りも、春は地区4回戦で函館大有斗に0-4で敗れた。秋に地区で倒した相手に10安打を放ちながら無得点。4番を務めた平泉駿太捕手(3年)は初回の先制機で併殺に倒れた。「1安打で1点取るのが函館工の野球。秋に勝ったことで気持ちが受け身になっていた。ゴロの打ち方など、もう1度、挑戦者の立場になり出直す」と気を引き締める。

今春23年ぶりの北海道大会出場で準優勝した苫小牧工の躍進に、函館工OBも刺激を受けている。63年夏に主将、捕手として甲子園出場した神垣真司氏(74)は「春に地区で負けても、へこむことはない。その敗戦を糧に、はい上がればいい」とエールをおくる。前回甲子園出場時も、前年の62年秋は北海道大会に出場も、63年春は地区敗退だった。その逆境を跳ね返し、夏の南北海道大会は、決勝で後に巨人入りした左腕エース吉沢を擁するセンバツ準優勝の北海を決勝で下した。56年前と同じ流れで、復権を目指す。

17年1月にはセンバツ21世紀枠の北海道地区推薦校となったが落選。1年半前の記憶は鮮明に残っており佐々木主将は「次は自力で行かなきゃと強く思った」と言う。今春、甲子園出場を願うOBの寄付で室内練習用ビニールハウスの照明が一新され、山本裕也監督(39)も「応援してくれるOBの方たちのためにも、ひとつでも多く勝ち上がりたい」と熱が入る。苫小牧から吹き始めた古豪の風を、今度は函館からも吹かせる。【永野高輔】