勿来工がサヨナラで清陵情報を下し、令和元年の福島開幕戦を制した。絶体絶命のピンチからの劇勝だった。2-3の9回裏1死一塁、永山智広外野手(2年)の遊撃への打球で万事休すかと思われたが、封殺プレーで塁を踏んでいないとされ一、二塁に。国井凌摩主将(3年)の右前適時打で同点とすると、最後は満塁から照沼歩武投手(3年)がスクイズを決めた。

ピンチではマウンドに集まり、全員でグラブを外し心をリセット。最後は呼吸を合わせて一本締め。8回には無死一塁、1死二、三塁と2度も「儀式」を行った。「気持ちを入れ替えて、再び一丸となるために」と国井主将。1月に指導者講習会に参加した荒井厳重監督(44)が、ともに三重の公立校、久居農林と松阪を甲子園に導いた松葉健司氏の講演からヒントをもらった。「話したら、やってみようとなったみたいです」。6回には栗須開夢内野手(3年)が左ふくらはぎをつってベンチに下がり「もうダメだと思った」が、下級生たちの必死の介護で試合に戻った。心を1つにしてつかんだ勝利だった。

昨年は開幕戦で4年ぶり白星のいわき海星が4強進出の快進撃。先発し8回3失点と粘った永山は「今年は僕たちが海星のようになって、最後は先輩たちと甲子園に行きたい」。劇的勝利を弾みに、ダークホースに名乗りを上げる。【野上伸悟】