金沢総合が、5回コールド勝ちで4年ぶりに初戦を突破した。

2年春から左投げに転向した近藤圭悟外野手(3年)が「1番左翼」で先発し、チームを盛り立てた。

無安打ながらも、左翼から声で味方を鼓舞した。本来は遊撃手だったが近藤だが、中2で手術した右肘を再び痛め、2年春に左投げに転向を決意した。初めはキャッチボールもままならなかったが、1日100球以上の投げ込みで徐々に感覚をつかんだ。まるで漫画「MAJOR」の主人公、茂野吾郎のような左投げ転向。近藤も「よく言われます」と笑う。

2年夏には左投げもだいぶ体に馴染んできたが、さらなる試練が訪れた。同冬に母泰子さん(51)が病気で急死。計り知れないショックを受けたが「母のためにも頑張ろう」と大好きな野球を続けた。

選手9人で始まった新チームだったが、1年生7人に出戻りの2年生1人を加えて17人になった。そして最後の夏の初戦で勝利。近藤は「先輩やみんなの期待に応えられた。母に一番に喜びを伝えたいです」。努力し続けた姿と声は、天国の母にも届いたに違いない。【鈴木正章】