東大合格者数全国一の開成(東東京)が7年ぶりに初戦を突破した。同点の9回に4安打を集中して4点を奪うと、4番手の森安葉太郎投手(3年)が3イニングを無安打投球して逃げ切った。同校は現役部員の横地駿太朗選手(3年)を監督に据える。青木秀憲部長(48)の「采配は選手同士で考えた方がいい」という方針のもと、メンバーはもちろん、投手交代も選手で決め、12年以来(4回戦進出)の初戦勝利をつかんだ。

◇   ◇   ◇

マウンドの開成・森安が雄たけびを上げ、両手を突き上げた。9回、高輪最後の打者を右飛に仕留めた瞬間だ。先頭打者に四球を与えても慌てない。「4点差あったんでフォームを確認しながら、いつも通りに押そうと思いました」。試合後は冷静に、3回無安打投球を振り返った。

先発した清水駿太郎(3年)を5回1失点でスパッと代えた。2番手の翁長良河(2年)が追いつかれると、清水を戻し、一、三塁のピンチを断つ。そして肘痛から復帰した森安を抑え役で起用した。内田開智捕手(2年)が言う。「状態のいい選手を使うようにしています。投手交代は僕が任せられているんで」。内田は9回、1点を勝ち越しなおも続く満塁から走者一掃の二塁打していた。

開成の監督は現役部員が務める。青木部長が説明した。「人(指導者)の言う通りに再現するのはどうですかねえ。選手同士で(采配を)考えればいい」。監督の肩書でベンチ入りした横地は「その考え方で、その象徴として僕の立場がある。みんなで相談して決めています」。

かつて監督兼任だった青木部長は、一歩引いて選手を見守る。「森安の踏ん張りが大きかった。私は監督はいらないと思うんです。理想に近づいています」。こう言って、7年ぶりの勝利を喜んだ。【米谷輝昭】