祖父に勝利を届けられなかった。元ロッテの倉持明氏(66)を祖父に持つ関東学院六浦の4番、倉持優梨外野手(3年)は「勝ちにいったので悔しいです」と唇をかんだ。

1点を追う6回に左前打を放ち、二盗を成功。続く5番打者の適時打で一時同点となるホームを踏んだが、勝利には届かなかった。

明氏が昨年12月に学生野球の指導資格を回復したのは「孫のため」だった。4月からは、週1回ほどのペースで同校で指導。「小貫さんという監督さんがいい人でね。こんな幸せなことはない。老骨にむち打って、よく行っているよ」とうれしそうに笑った。

優梨は祖父を「一番尊敬する人」と言い、コーチ就任は「めちゃめちゃうれしかった」という。幼い頃も野球を教えてもらう機会はあったが、コーチと選手という関係になって胸に刺さったのは、「どんなときも強気でいろ。お前がチームの大黒柱だ。お前が崩れたら城が崩れる」という言葉だった。試合前には「負けたら悔いは残る。悔いを少しでも少なくするようにしろ。勝て」と、げきを飛ばされた。

関東学院六浦の部員は14人。100人以上いる祖父の母校、横浜商大高に惜敗した。明氏は「たいしたもんだよ」と褒め、「もうちょっと早く行けばよかったな」と、コーチ就任のタイミングを残念がった。優梨は悔しさを胸に、大学へ進学して野球を続ける予定。“祖父子鷹”の道は、これからも続く。【佐藤成】