春夏通算5度の甲子園出場を果たし、91年のセンバツでは4強まで進出。「ミラクル市川」と呼ばれ親しまれた市川が白星発進した。

来春に増穂商、峡南と統合されることにより、市川としては出場する最後の夏の大会となる。

最後の夏の大会も、ミラクルの校風は生きていた。この日先発したアンダースローの村松智之投手(3年)が、初先発初完封の離れ業をやってのけた。7回には右足をつり、水分と塩分補給をしながら、最後まで投げ抜いた。試合後は「最後の3人に対して、強気で投げることができました」と、はにかみながら勝利をかみしめた。マウンド上ではほとんど感情の起伏がないことを、村松は「淡々と投げるように言われてますから」と自然な表情で受け答えした。

参考にしたアンダースローの投手として阪急で活躍した球界を代表するアンダスローの山田久志氏の名前を挙げ「動画を見ながら参考にしました」と言った。渡辺俊介さんのフォームが好きで、今年の春から投げはじめた急造とは思えないリラックスしたピッチングで、甲府一打線を散発2安打に封じ込めた。

佐野大輔監督(37)は、勝って聞いた校歌について質問されると「(統合のことは)たまたま今回タイミングがそうなっただけで、彼ら選手には彼らなりの夏があります。今日みたいに、自分たちから乱れることなく戦ってもらいたい」と落ち着いた口調だった。