背番号10のキャプテンに引っ張られ、矢板中央がコールド発進した。

主将を務めるのは野口悟空内野手(3年)。漫画「ドラゴンボール」から名付けられたかと思いきや、父陽介さんは「般若心経からとりました」と明かした。由来は「空を悟る。空っぽの何もないことにこそ関心を持ってほしい。目に見えないことに気を配ってほしい」と説明。悟空は「すぐ覚えてもらえるし名前から勇気をもらう。悟空なのにしょぼかったら嫌ですよね」と誇らしげに笑った。

大会前、悟空は父に初めて手紙を書いた。「小3から野球を始め、今年で10年。最後の背番号は10でした。レギュラーではないけど自分のできることをやります。10年間ありがとう」。自分の役割は「ベンチを誰よりも盛り上げ、チームを勝たせること」と言い切った。父の願った「目に見えない」チームワークを第一に考え、声で支えている。

この日は2回無死一塁で代打で登場。3年目での公式戦初打席は左飛に終わった。「気持ちとバットがフュージョンしなかった」と反省しながら「次はカメハメ波打ちます」と明るく、力強く誓った。目標は1つ。同校初の甲子園出場だ。【佐藤勝亮】