「勉強だけじゃだめだ」。県内屈指の進学校、県浦和がAシードの浦和実に7回コールド負けし、3回戦で敗退した。

主将の南原二良外野手兼投手(3年)は1回1死走者なしで、今大会初登板から10連続奪三振中だった好投手豆田泰志投手(2年)から右中間に二塁打を放ちチャンスを演出した。7回からは投手としてマウンドに上がり3人で抑えるなど攻守に奮闘した。

中学時代、私立から誘いもあったが浦和野球部OBの兄顕さん(22)の影響で進学を決めた。

「誰に言われたか覚えていないんですけど『公立高校で一番甲子園に近いのは浦高だぞ』と言われて『確かに』って。21世紀枠とかでいけるかなって。浦高は県内でも全国的に注目される学校だから、そこで勝ち上がれれば。注目されやすい」。部活に入らず勉強に励む生徒もいる中、全国区のラグビー部やサッカー部などの部活生でモチベーションを高め合い本気で甲子園を目指した。

主将として一番苦労したのは「勉強もしなければならない中で全員を野球っていう同じ方向に向けること」。あらかじめインナーを着たりソックスを履いたりして午後3時5分に授業が終わると午後3時10分にはグラウンドに到着するようにした。背中で野球への姿勢を見せ続けた。

練習が終わると午後9時まで皆で学校に残って勉強を教え合った。勉強もしっかりしながら「打倒私立」を掲げ野球に向き合った。

高校野球について「両立するのは本当に大変でした。でも人として成長できました」と語った。

試合後悔し涙を流したが「大学でも野球を続けたいです。六大学でやりたいです」と宣言した。「東大で?」と聞くと「目指して入るんですけどね…学力的にはまだ足りてないですけど…」と照れた。

真の文武両道はこれからも続く。【佐藤成】