東明館が起死回生の逆転劇で初の4強入りを果たした。1点ビハインドの9回、1死走者なしから連続四球と安打でつかんだ1死満塁のチャンスから、控え背番号の3年生2人が連続タイムリーで3得点。1、2年生5人がスタメンに名を連ねるなか、途中出場の3年生が意地を見せてのミラクル劇だった。

同点打を放った三浦駿太郎外野手(3年)は「みんなでつないでくれた。(打球が)つまっていたが(外野の前に)落ちてくれと思った」。夏前までは背番号9だったが最後の夏は19。「悔しかった」。まさに意地の同点打だった。勝ち越し打を放ったのも途中出場の大場陸内野手(3年)。昨年秋は1番打者だったが「悔しかったが、ベンチにも入れない3年生もいる。試合に出たらそいつらの分まで活躍しようと心に決めていた」と興奮気味だった。3回戦の有田工戦も9回1点差を追いついて延長にもちこみ、サヨナラアーチで劇的勝利。2戦連続でのミラクル劇でもあった。

古賀洋監督(58)にとっても、東明館を率いて31年目の夏に、すでに初めて8強を決めていたが、これで初の4強。「気持ちを前面に出すことがなかった控えの3年生が最後に打ってくれた。選手に感謝です」。次は母校でもある鳥栖と決勝進出をかけて戦う。「恩返しして決勝にいきたい」。東明館ナインの驚異の粘りは頂点まで続く。【浦田由紀夫】