静岡高は、4-4の延長11回裏に1番相羽寛太内野手(2年)がサヨナラ打を放ち、東海大静岡翔洋に競り勝った。浜松工と島田商も4強入りを決めた。公立4校が4強を独占したのは、1994年(平6)の第76回大会以来、25年ぶり。準決勝2試合は27日、草薙球場で行われる。

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静岡の相羽は、チャンスの場面でも打席の中で冷静さを保っていた。「外野が前に出ているのが分かっていたので、振り抜こうと思いました」。初球のまん中直球を打った瞬間、右翼手の頭を越えることを確信。サヨナラ勝ちが決まると、歓喜するチームメートの輪の中に誇らしげに向かっていった。

今大会4試合に出場し、12打数2安打と結果を残せていなかった。打撃の調子は良かったが、その分打ち気を抑えられないでいたという。だが、この日は「ボールがよく見えていました」と4安打の活躍。練習から逆方向を意識した打撃を徹底したことで、体が前に突っ込むことが抑えられ、スムーズなスイングを取り戻した。

この日は、3年生の意地も目の当たりにした。2点を追う8回に1点を返し、なお2死二塁で春までレギュラーだった樋口裕紀内野手(3年)が代打で打席に。中前への同点打を放ち、チームを生き返らせた。「頼りになる人」と話す先輩の一打に、相羽は大きな刺激を受けた。

リードオフマンの復活に、栗林俊輔監督(46)は「相羽に当たりが出てきたことは、チームにとってすごく大きい」と話した。勝負強さが増したチームは、次戦で当たる第4シード浜松工にも恐れずに向かっていく。【河合萌彦】