学校創立138年の歴史を誇る鎮西学院が、春夏通じて初の甲子園に王手をかけた。エース右腕の楠本宏武投手(3年)が、1回の1失点だけで2回以降は強力長崎商打線を無失点に抑えて完投勝利。「僕たちが学校の歴史を変える、という思いでやってきた。明日(28日)絶対勝って甲子園に行きたい」と胸を張った。

中学まで全ポジションをこなし、2年春から投手に専念。「最初は力いっぱい投げていた」と今夏に最速144キロをマークするまでに成長した。しかし「高めに浮いて打たれることがあったので、力を抜いて制球を重視にするスタイルに変えた」という準々決勝の創成館戦で完封勝利を挙げた。「今日も同じ感じで投げました」。巨人菅野に憧れる楠本が制球重視で、1失点(自責0)完投勝利の活躍を見せた。

就任6年目の村井博史監督(49)も「楠本は自分のいいところがどこかに気付いて創成館戦でいい投球をして何かをつかんだようだ。今日もよく投げてくれた」と頼れるエースをたたえた。

チームとして11年ぶりの決勝となる28日は楠本の18歳の誕生日でもある。「日程を知ったときから、何か持っていると思っていた。ここまできたんで自分のための大会だと思えるように優勝したい」。今夏、大きく成長した右腕が年齢とともにさらに大きく飛躍する。【浦田由紀夫】

◆鎮西学院 1881年(明14)カブリー英和学校として創立の私立校。鎮西学館を経て1906年に現校名に。生徒数は943人(女子451人)。野球部創部は1901年で部員は74人。甲子園出場はなし。主なOBは菊川昭二郎(元近鉄、西鉄、ロッテ内野手)浜岡和久(元J大分MF)ら。所在地は諫早市西栄田町1212の1。川崎健校長。

◆楠本宏武(くすもと・ひろむ)2001年(平13)7月28日、大村市出身。千綿小1から「千綿小ソフトボール」でソフトボールを始め、千綿中1からは「長崎中央リトルシニア」に所属。全ポジションを経験した。鎮西学院入学後は内野手→外野手→投手を経験。昨春から背番号1となり昨夏も全試合に先発し、ベスト8進出に貢献した。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。