鎮西学院の快挙は来年以降に持ち越しとなった。春夏通じて初の甲子園を狙ったが、まさかの大敗に散った。

先発の右腕エース楠本宏武士投手(3年)が、味方の失策もあり6回途中9失点(自責1)で降板。連投で挑んだ18歳の誕生日だったが、甲子園は夢と消えた。

楠本に涙はなかった。「打たせて取る投球が出来なかった。途中で直球で押して、流れを変えようと思ったんですが…。誕生日はあまり意識はなかったが、勝って終わりたかったですね」。2年生の山口涼太遊撃手が4回に一塁への悪送球を2度してしまい大量失点につながった。試合後、泣きじゃくる山口に、楠本は「来年は主力なんで今年以上に頑張れと言いました」と優しく声をかけていた。

「優勝」。鎮西学院ナインはこれを「優しく勝つ」と教えられてきた。村井博史監督(49)は「就任以来、この優しく勝つことをモットーにやってきた」という。優勝こそできなかったが「優勝」を重ね決勝までやってきた。決勝で2失策した山口だが1番打者としては4打数4安打をマークして意地を見せた。「楠本は成長してくれたし、下級生はこの負けを糧に頑張ってほしい」。村井監督の言葉に、来年こそ本当の「優勝」をつかむ決意が表れていた。【浦田由紀夫】