星稜・林和成監督(44)が万感の思いで甲子園に戻る。「私自身が迷惑をかけて選手に余計な重圧がかかったと思う。ここまで戦ってきた選手を誇りに思います」。今春の甲子園2回戦の習志野(千葉)戦で相手のサイン盗み行為を疑い、試合後には直接敵将の元に抗議に向かった。学校から6月上旬まで2カ月間の指導禁止処分を科された。

練習、試合は1度も見なかった。批判や激励の手紙に全て目を通した。自分を見つめ直すために名指導者の本を読み、介護施設で実習経験もした。野球以外でチームが注目を浴びるようなり、関係者によると、選手も本来の明るさを失った時期があった。

選手への申し訳なさは消えない。現役時は1学年上に松井秀喜氏がおり、2年時からレギュラーだった。「選手の時の重圧とは全然違う。この子らを甲子園に導いてあげなきゃという思いがあった。1日でも長い夏にしたいです」と笑みを浮かべた。

▽ロッテ岩下(星稜OB)「5年前の僕たちと同じ決勝戦の組み合わせとなったので、注目もされて大変なプレッシャーであったと思いますが、そのような試合を制して、甲子園出場を決めたことは本当にすごいことだと思います。甲子園でも最後まで諦めずに優勝目指して頑張ってください」

◆星稜 1962年(昭37)創立の私立校。63年から現校名。生徒数1739人(女子879人)。野球部も62年創部。部員数77人。甲子園出場は春13度、夏20度目。主なOBは元ヤンキース松井秀喜、サッカー元日本代表本田圭佑ら。所在地は金沢市小坂町南206。鍋谷正二校長。