宮崎大会は富島が小林西に完勝し、夏の甲子園初出場を決めた。プロ注目の1番主将、松浦佑星内野手(3年)が攻守に大奮闘。4回に右越え2ランでリードを4点に広げると、守備でも好守を連発。昨春のセンバツ初戦で奥川恭伸(3年)の星稜(石川)に大敗した悔しさを胸に、再び甲子園に向かう。

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初回から2打席連続四球と出番のなかった松浦のバットが、3打席目に火を噴いた。2点リードの4回2死二塁。高めに浮いた直球を逃さなかった。「バットの先っぽ」と手応えはなかった。それでも打球は伸びる。両翼100メートルあるフェンスを越えていった。

「意外とライトへ伸びていった。入ってよかった」。高校通算6本目、優勝へ導いた1発を喜んだ。6回は三塁への内野安打を放ち、50メートル6秒2の快足も存分にアピールした。

守備範囲の広さと強肩も披露した。8回は中前に抜けそうな打球を飛びついて捕球すると、素早く送球して仕留めた。

「ノックを打ってもらった。球際には強くなりたかった」。

6回先頭の遊ゴロは、足を滑らせながらも強い送球でアウトを奪った。「コーチには肩が弱いと言われた。遠投で鍛えてきたので」と胸を張った。遠投は推定110メートル。同校グラウンドの両翼93メートルの高いネット上部に当てるまでになった。

ピンチもあった。今年4月末には練習試合中に左足小指の付け根付近を骨折。約2カ月、治療と厳しいリハビリで乗り越えた。

昨春のセンバツで富島は学校創立以来、初めて甲子園の土を踏んだ。松浦は初戦の星稜戦で2安打を放ったが、チームは3回途中から救援登板した奥川に無失点に抑え込まれ、2-11と大敗した。浜田登監督(51)は「(宮崎での)優勝は通過点だと思っている」と話す。松浦も即答した。「甲子園で1勝したいです」。星稜へのリベンジも胸に、全国初勝利を目指す。【中牟田康】