宇部鴻城(山口)の「二刀流」、背番号8の岡田佑斗投手(3年)が、投打にわたる活躍でチームの初戦突破に貢献した。

投げては先発3失点完投。13安打を打たれながらも147球を投げて13三振を奪った。打っては1番打者として、公式戦2本目の2ランを含む5打数3安打2打点。あと三塁打が出ればサイクル安打という大活躍。「打つのも投げるのも両方好き。チームが勝ててうれしい」とお立ち台で言葉を弾ませた。

マウンドでは常に優位に立った。「相手のリズムにさせないよう、自分が優位に立ちたいから」とテンポよくポンポン投げ込み、球審から「打者が構えてから投げなさい」と注意されるほどで、打者に考える暇も、ゆっくり構える余裕も与えなかった。1回に3者三振を奪ってリズムに乗ると、相手打線の1番から3番までで9三振を奪った。中学からバドミントンを始め「肘をうまく使わないと打てないのは投球につながる」とキレのいい球につなげた。「昨年、金足農の吉田投手(現日本ハム)の投げ方も参考にしました」と130キロ台ながらキレのいい球で三振の山を築いた。

ポンポン投げるのは走者がいない時だけで、ピンチになると「少し考える間合いをつくって自分のペースで投げた」と6回2死満塁のピンチでは、球審にうながされるまでセンターを向いてしゃがんでいた。「下半身を意識するようなイメージでした」。次打者の1球目で遊飛に仕留めてピンチを切り抜けた。

打っては投手としての利点を生かした。2-0とリードした4回。1点を追加した後の1死一塁で、カウント2ボール後の3球目の直球を右翼席へ運んだ。「絶対に直球でストライクを取りに来ると思った」と胸を張った。

投手として入学したが、昨年秋に腰を痛め、いったん投手をあきらめ打者に専念した。今年5月に尾崎公彦監督(49)に投手をすすめられたが「打者に専念したい」と断った。しかし「センターから見てて、また投げたくなった」と監督に直訴。「自分が投げられれば県大会でエースを助けられる」。チームを思い1番打者ながら投手という逆境をあえて選択した。「1番投手はもう慣れました。自分で勢いつけていけますから」。運動量は半端ない。この日、三塁ゴロでも打者走者の前を横切り、一塁ベースカバーに走るほどだった。

3回戦は優勝候補の明石商が相手。「120%の力を出すつもりで、挑戦者の気持ちでいきます」。打ってよし、走ってよし、投げてよしの岡田が、強豪に立ち向かう。【浦田由紀夫】