日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)が怪物の現在地を評した。

高校日本代表-大学日本代表に先発した大船渡・佐々木朗希投手(3年)の剛腕は怪物級としたが、今後の育成法の難しさを挙げた。

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怪物は、やはり怪物だ。甲子園に出場できなかった佐々木にとって初の全国舞台。緊張もあったのだろう。最速156キロだったが、シュート回転した直球が多かった。それでも登板した他の高校生、大学生の投手の球が軽く見えるぐらい、重そうな球に見えた。VTRでスローを見ると、球の回転数が多くは見えなかった。回転が掛からなければ、その分、重さが増す。速くても球質が軽い投手は多いが、速くて、かつ重い投手は今までの日本人で例が浮かんでこない。

ただ、現状で言うと、使い方が難しい投手だ。岩手大会決勝でも登板を回避したが、この試合も指を気にする影響もあったからか、1イニングにとどまった。高校でも限定された起用だったが、選手を預かる代表なら、なおさら使う方は無理させにくいだろう。本来はケガを避ける起用法ではなく、ケガをしないために、どう育てるかを考えなければならない。

星稜・奥川は甲子園での力投でプロのスカウトの評価を佐々木に匹敵するぐらいまで上げた。本来ならポテンシャルは誰が見ても佐々木の方が上。それでも奥川の名前が挙がるのは、高校時代にこれだけ投げることができていたのなら、プロに入ってから耐えられる練習量や成長速度、完成形が予測しやすいからだ。

佐々木はプロ入り後も1軍で先発ローテ入りするまでに、3年ぐらいは待たなければいけないかもしれない。体づくりに時間を要するだろう。MLBもマイナーでまずは高低だけで抑えることから始め、段階的に左右、奥行きとテーマを設定してレベルを上げていく育成法を取る球団がある。即戦力とは考えずに、時間をかけながら、育てていく方がいいだろう。