東海大山形が村山地区第3代表決定戦で、寒河江を8回コールドの10-2と圧倒し、山形県大会出場を決めた。

「1番投手」のエース右腕・桑山義樹(2年)が1回表に中越え二塁打を放って先制点の起点に。同裏には押し出し四球などで2失点(自責1)したが、その後は無安打無失点に封じて勝利に貢献した。兄2人の母校であり、中学時代の仲間がいる今夏の甲子園優勝校・履正社(大阪)撃破を目標に掲げ、来春のセンバツ切符獲得に挑む。

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桑山が中越え二塁打の快音で、快勝の口火を切った。次打者の適時三塁打で先制の生還。前日8月31日の寒河江工戦に初めて「1番投手」で起用された。「先攻でも後攻でも、絶対に試合が自分から始まる。自分次第で流れが変わる。ヒットを最初に打てて良かった」。2回には1死一、二塁から左前適時打、8回にも右前適時打を放つなど、5打数4安打2打点の活躍で先頭に立った。

投球は反省し、課題を明確にした。兵庫伊丹ヤング時代の中2までは投手だったが、高校入学後の“再登板”は今夏の山形大会1週間前。1年春から外野手として活躍してきたが、2刀流に転向。連打と連続四球、味方の失策で一時同点とされ、「まだ自分で崩れてしまう。制球が出来なかった。勢い良く楽しく投げられれば、野手のリズムも生まれる。自分のプレーで引っ張りたい」。投球フォームもセットポジションやクイックで投げるなど模索しながら、日々精進を繰り返している。

今夏の甲子園は、気持ちをさらに高めてくれた。兄雄樹さん(福井工大4年)、洸樹さん(同2年)がOBの履正社が全国制覇。優勝メンバーには中学のチームメートや、対戦経験のある“宿敵”が多数いる。自身は親元を離れた環境を求めて東北の地を選んだが「優勝したのを見て、悔しい思いがある。東北で有名になって、東海を勝てるチームにして甲子園に乗り込み、倒したい」。まずは県大会上位3校に与えられる東北大会切符獲得が最低条件だ。

武田宅矢監督(41)からも「今までの東海にいなかったタイプ。投手でも1番打者で引っ張ってほしい」と期待されている。桑山も「アップからしっかりと準備することが大事だと感じた。1球目、1打席目など『1』を大切にしていきたい」。04年春以来遠ざかっている聖地を「1番投手」で導く。【鎌田直秀】