県勢2校はともに敗れ、来春センバツへの出場を確実にすることはできなかった。加藤学園(静岡2位)は、県岐阜商(岐阜1位)に3-4で延長10回サヨナラ負け。試合前半に3点をリードしたが、先発の肥沼竣投手(2年)が、リードを守りきれなかった。中京大中京(愛知1位)と対戦した藤枝明誠(静岡1位)は、投手陣が相手打線につかまり、5-12の8回コールド負けを喫した。

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149球の力投は報われなかった。同点の延長10回1死満塁。加藤学園の肥沼は、相手1番打者の左前サヨナラ打を確認すると、表情を変えずに整列へと向かった。「打球が外野へ抜けたのを見て、終わっちゃったんだなと思いました」。

春夏通算56度の甲子園出場を誇る強豪校を相手に、失点を覚悟で向かっていった。植田颯斗外野手(1年)の2ランなどで援護をもらった前半は、快調な投球。しかし、6回に3安打を集中され2失点。8回に追いつかれた。「思い通りに投げていたのですが、6回に初めて四球を出してリズムが悪くなった」。低めに球を集めこらえていたが、最後の打者には、その低めを打たれ「相手の力が上でした」と肩を落とした。

「あと1勝でセンバツというのは、頭にあった」と肥沼。だが目指していたのは、優勝して神宮大会へ出場することだった。「甲子園より前に全国を経験できる舞台なので、狙っていました」。思いはかなわなかったが、チーム史上初の東海大会4強入りに自信を深めた。今後に向け「この悔しさを夏に晴らすために、変化球の制球力を高めていきたいです」。加藤学園の絶対エースが、さらなる成長を誓った。【河合萌彦】

◆県勢の来春センバツ出場の可能性 県勢は東海大会の2強に残れなかったが、まだ可能性は残っている。全国10地区の優勝校が出場する明治神宮大会(15日開幕)で、東海地区代表校が優勝すると、同地区に「神宮大会枠」が与えられる。これによって出場枠が1つ増えるため、4強入りした県勢にチャンスが生まれる。その場合、試合内容の点でコールド負けした藤枝明誠よりも、延長サヨナラ負けの加藤学園が選出される可能性が高い。