シーズンオフ企画「高校野球NOW」の第2回は日本高野連が若手指導者育成を目的に08年から開催されている「甲子園塾」にスポットを当てます。2泊3日で塾長の星稜・山下智茂名誉監督(74)、今夏日本一の履正社・岡田龍生監督(58)ら名将が指導法を惜しげもなく伝授。参加者には元朝日放送アナウンサーの西宮今津・清水次郎部長(48)の姿もありました。【取材・構成=石橋隆雄】

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講師や受講者が実技をするために、毎回モデル校が選ばれる。今回は尼崎工と東大阪大柏原の2校。尼崎工は今夏兵庫県大会4回戦敗退、東大阪大柏原は大阪府大会3回戦で敗退している。

まだ甲子園常連ではないが、野球に力を入れている学校が選ばれる。東大阪大柏原の土井健大監督(30)は、元オリックス捕手で昨年10月に就任したばかり。「山下塾長や名門の監督さんたちが、熱い思いをぶつけてくれる。ほめるだけの野球教室ではない。厳しく選手たちに接してくれることで、本当にいい刺激になった。プロでも最後は気持ちの部分が大事。選ばれて光栄です」と感謝した。

山下塾長は「元気がない! そんなことでは大阪桐蔭、履正社には勝てないぞ! 勝ちたくないのか!」と怒鳴り声で部員約50人を鼓舞していたが、その思いはしっかり届いていた。

◆土井健大(どい・けんた)1989年(平元)1月24日、兵庫県生まれ。履正社では当時「ナニワのゴジラ」と呼ばれたT-岡田の1学年下だったため「ナニワのミニラ」と呼ばれた。06年高校生ドラフト5巡目でオリックス入り。捕手としてプレー。10年に戦力外通告を受け、育成選手として巨人で1年間プレーした。1軍出場はなし。社会人野球、軟式野球を経て、18年4月から東大阪大柏原のコーチに。同年10月から監督に就任した。右投げ右打ち。