花巻東(岩手)の入学式が7日、同校で行われ、今春創部の女子硬式野球部1期生が初集結した。式典後に、2年生部員2人と新入生11人が対面し、三鬼賢常監督(58)と初ミーティング。自宅通学以外の1年生6人は「優桜寮」へ入寮し、新生活もスタートした。8日の初練習から本格始動する。

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野球大好きJK(女子高生)13人が、制服姿で結束した。1年生11人が規模縮小の入学式にマスク姿で参加。初対面会場の教室で出迎えたのは入学後、軟式野球部に所属して創部を待ち望んできた河野瑠生、田口雛乃の2年生2人だった。初代主将の河野は「明日からの練習が楽しみ。ようやく実感が湧いてきた。日本一になれるように、みんなを引っ張っていきたい」と笑顔を見せた。

河野と女子軟式野球チーム「絆ヴィーナス」(遠野市)で一緒にプレーした新沼瑞姫(みずき、1年)は、大船渡一中の先輩でもあるロッテ佐々木朗希投手(18=大船渡)の背中を追う。本職の内野手だけでなく投手も希望。「会ったことはないのですが、すごい能力を持っている人。少しでも朗希さんみたいになれたら良い」。くしくも同校男子野球部は昨夏の決勝で佐々木の全国舞台を奪った相手だが、「花巻東の野球部は仲間との信頼がすごいチームと感じていた。私たちもみんな仲良くなって信頼し合い、まずは全国で1勝」と目標を掲げた。

新沼は大きな荷物を抱えて入寮も終えた。ホラー小説好きだが、2人部屋も考慮して本400冊の持参は断念。「ヘアアイロンとオイルくらい。部屋もきれいだし、ワクワクします」と胸躍らせた。唯一の特進コース所属で文武両道も誓う堀夢桜(1年)も「外野まで飛ばせるバッティングは自信があります。ハナトウ(花巻東)のユニホームが着たかった」。公式戦参加は秋からの予定。憧れのエンゼルス大谷翔平(25)と同じ環境で、男子も達成していない東北悲願の全国制覇に挑む。【鎌田直秀】

○…三鬼監督のあいさつは、温かみにあふれていた。「お父さん、お母さんよりは年齢が上だけど、おじいちゃんまではいってないよ」と笑わせ、つかみはOK。「優しい顔ですけれど、結構厳しいよ」と“鬼”の顔も予告しつつ「男子より先に日本一を取っちゃうくらいに頑張ろう」と盛り上げた。練習会場の支援など協力をお願いしている花巻市の上田東一市長(66)からは「男子、女子の野球部が切磋琢磨(せっさたくま)して、両方で日本一を目指していただきたい」と激励を受けた。