高校野球の静岡県大会は、春に続いて夏も中止になった。日本高野連は20日、新型コロナウイルスの影響で、今夏の甲子園大会と、出場権を懸けた地方大会の中止を発表した。春のセンバツ初出場が幻に終わった加藤学園の米山学監督(42)は選手たちを思い、無念さをにじませた。

   ◇   ◇   ◇

加藤学園は春に続き、夏も甲子園への夢を絶たれた。米山監督は涙をこらえながら口を開いた。「夏に向けてやってきたので残念。今はチームを最優先に考え、生徒たちに寄り添いたい」と、言葉を搾り出した。可能性を残す県独自の代替大会については「可能な範囲で開催するのが、1番だと考えている」と訴えた。

オンライン会議システム「Zoom」を利用し、全部員61人へ甲子園大会と地方大会の中止を伝えた。「ショックを隠しきれない生徒もいた」と米山監督。その後、勝又友則主将(3年)とは、電話で連絡を取ったことも明かした。「『前を向いてやっていきたい』と話していた。指導者として勇気をもらった」と実感を込めた。

昨秋の東海大会でベスト4に進出。その後、明治神宮大会で東海王者・中京大中京(愛知)が優勝したため、神宮大会枠で、1996年(平8)の創部以来、春夏通じて初の甲子園出場を決めていた。センバツ中止を受け、今夏の県大会初優勝で甲子園切符をつかむため、気持ちを切り替えていたが、2季連続の“悲報”が舞い込んだ。

チームは先月上旬から活動休止。今月25日から少人数での練習を始め、来月1日からの全体練習再開を予定している。米山監督は「早く選手全員と向き合って話し、一緒にグラウンドで汗を流したい」と意欲的だった。【古地真隆】