夏の甲子園連覇は戦わずして消えた。

今年のセンバツに続く中止に、履正社(大阪)・岡田龍生監督(59)は「生徒たちは無念で悔しい気持ちで一杯だろう。その気持ちは私たち指導者も同じ。彼らの安全を無視してまでやることが、彼らにとってプラスかと考えると、この結果になったことは致し方ないと思う」と受け入れた。

元阪神関本賢太郎氏(41)の息子で、今秋ドラフト候補の関本勇輔主将(3年)が率いる今チーム。2塁送球最速1秒84の強肩を持つ関本は「小学校の時から野球を続けさせてくれた。甲子園で活躍することは父を超えると言うよりも恩返しです」と思いを口にしたこともあったが、その夢も奪われた。

今夏は駒大苫小牧(南北海道)以来となる史上7校目の夏連覇の可能性も残していた。指揮官は「それは履正社高校だけの話。現状を見て、生徒ら1人ひとりのことを考えれば、安心安全を一番に優先すべきだと思う」。大阪府高野連は、独自大会開催について検討中。「甲子園のチャンスは入学してから5回しかないが、3年生はそのうち2回が中止になった。顧問としてはどんな形でも、なんとか最後に試合をさせてやりたいという思いはあるが、今は冷静に高校野球連盟の決定を待ちたい」と心境を明かした。【望月千草】