大阪府高野連は3日、今夏の大阪府独自の代替大会(18日開幕)の組み合わせ抽選を大阪市内で行った。浪速の遠山昭治監督(52)は元阪神で左キラーの中継ぎとして活躍。昨年11月の就任後、今大会が公式戦デビューとなる。23日の初戦で桃山学院と対戦。1期生となる3年生22人と全員野球で初陣初勝利を目指す。 ◇   ◇   ◇ 遠山監督は「3年生最後の大会ができることがうれしい。ありがたい。僕が一番楽しみにしている。1試合でも多く、この子たちと野球がしたい」と代替大会の開催を感謝した。 昨年11月に監督就任。冬場に徹底的に鍛え、春、夏の公式戦で台風の目になる手応えもつかんでいた。だが、新型コロナウイルス感染拡大のため中止。2月末から6月中旬まで、3カ月半まったく活動できなかった。「僕らだけではない。悔やんでも仕方がない。再開の日にみんなの表情がよかったのでホッとしました」。6月15日から再始動。堺市にある浪速のグラウンドは選手たちの活気で満ちあふれている。 下向大輝捕手(3年)は「自宅待機中に野村克也さんの本を読んだら、配球などの教えが似ていた。遠山監督が来てから、相手打者が何を待つか分かるようになってきた」と驚いた。阪神での現役時代に遠山監督に染みついた「ノムラの教え」が知らずに浸透していた。配球や相手のミスや隙を突く野球など、プロの戦い方を教え、体力面などでまだ差がある強豪へ立ち向かう。遠山監督は「いろいろやらないと勝てないから」と、エース左腕の村上真基投手(3年)を軸に、右のアンダースロー、右の長身パワー投手などタイプが違う5人の投手を育ててきた。小刻みな継投策にも注目だ。 結野颯太主将(3年)は「監督からは野球を楽しんでやることを教わった。監督の初陣なので、勝ちを届けたい」とチームの思いを代弁する。独自大会は3年生22人で戦う。今回は試合ごとにメンバー20人の入れ替えが可能。遠山監督も「22人全員で大会をやり遂げたい。勝ってメンバーを入れ替えたい。(采配は)直感や感覚を生かしていければ」とやる気をみなぎらせる。1期生たちの最初で最後の戦いが始まる。【石橋隆雄】 ◆遠山昭治(とおやま・しょうじ)1967年(昭42)7月21日、熊本県生まれ。八代一(現秀岳館)から85年ドラフト1位で阪神に入団。1年目に8勝を挙げる。90年オフにロッテに移籍。95年から野手転向。戦力外となった97年オフに入団テストを経て阪神入り。サイドスローに転向して中継ぎとして活躍し99年にカムバック賞。02年限りで引退。通算393試合、480回1/3、16勝22敗5セーブ、防御率4・38。05年から11年まで阪神のファームでコーチ。14年に学生野球資格回復。現在は浪速で入試広報部の職員として勤務している。左投げ左打ち。 ◆浪速 1923年(大12)に旧制浪速中学校として創設された私立校。05年から男女共学。生徒数は2026人(うち女子687人)。野球部は26年創部で甲子園には春2度(91年、01年)出場。主なOBに大引啓次(元ヤクルト)近藤大亮(オリックス)。空手部、ボクシング部などが全国レベル。主な卒業生は赤井英和(俳優)笑福亭鶴瓶(落語家)林家ペー(タレント)。所在地は大阪市住吉区山之内2の13の57。飯田智文校長。