全国高校野球選手権大会がなくなった今夏。球児たちはどんな思いで試合に臨むのか。直筆の手紙とともに随時掲載していく。

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聖地での交流試合に出場する帯広農(北北海道)・水上流暢右翼手(3年)は、支えてくれた家族と先生に感謝の思いをしたためた。夏季北海道大会十勝地区初戦の相手は帯広南商(23日)に決定。20年最初の公式戦へ「甲子園に出るチームとして恥ずかしくない試合を」と気を引き締めた。

実家は50ヘクタールの農地を経営する北海道・音更町の大農家。6男2女、8人きょうだいの三男は「夏の大会が中止になった時は気持ちの整理ができなかったが、たくさんの家族に救われた」。休校期間は保育士をしている長兄広大さん(23)帰省していた日大3年の次兄斐斗さん(20)弟の秦さん(音更駒場中3年)が交代でキャッチボールにつきあってくれた。兄弟が、野球への熱を保ってくれた。

高校卒業後は実家の農業を継ぐ。中止とはなったが、センバツ決定時に喜んでくれた3年A組担任の松本奈緒子先生には「いつか自分が育てたジャガイモを届けたい」。ジャガイモは寝かせた方が甘さが増すという。試練に耐え、人として熟した姿を、聖地で披露する。【永野高輔】