元阪神、オリックスで活躍した野田浩司氏(52)の長男、泰司朗(たいしろう)内野手(2年)が大勝に貢献した。

「9番三塁」で先発。1点差に迫られた4回1死二塁で低めチェンジアップを強振するとライナーで左翼の頭上を越えた。この加点タイムリー二塁打が起点となって、一挙4点を奪取。尼崎西を突き放した。8回も引っ張って左翼線にシングルヒット。この日は2安打をマークした。

「もともと、打撃は得意じゃなかった。(4回は)しっかり引きつけて打とうと。バットに乗ってくれて良かった。何とか自分の1本で、先輩に恩返ししたいと思っていました」

171センチと小柄だが、スピード感のある動きで存在感を示した。父には試合前に「緊張するのは相手も一緒。平常心で、いつも通りのプレーをするように」とアドバイスされたという。新型コロナウイルスの感染拡大で休校になると、自主練習に取り組んだ。父から「時間があるなかで、自分が何をするか決めろ」と言われた。近くに住むチームメートとキャッチボールを継続。ご飯中心の食生活で体作りにも励んだ。

浩司氏は95年4月21日ロッテ戦で1試合19奪三振のプロ野球日本新記録を樹立したほか、93年に17勝を挙げて最多勝に輝いた、通算89勝の好投手だった。泰司朗は「引退した後に自分が生まれた。(19奪三振の映像を見て)すごいな、ヤバイ投手だなと。小さい頃から『何でも全力で取り組め』と言われてきました」と尊敬する。

2年生だが、堂々と背番号5をつけている。岡山毅監督(40)は「期待の表れです。1桁番号を渡して、3年生は誰1人、不服に思わない。文句はない。ひたむきさがチームを支えてくれている」と評価した。父とタイプこそ違うが、野球への情熱は負けていない。