青森山田が1発攻勢で10安打9得点を奪い、弘前実を7回コールドで下し、3年ぶりの決勝進出を決めた。新井山泰佑捕手(3年)が高校初アーチの先制3ラン。父啓尉さん(46)と兜森崇朗監督(41)の誕生日と重なった一戦で「祝砲」を打ち上げ、守備でも3投手を巧みにリードし2安打完封リレーに導いた。28日の決勝は八戸学院光星と激突する。

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新井山が「特別な日」に初アーチを描いた。2回1死一、二塁、高く舞い上がった打球は左翼手がジャンプして捕球を試みるもわずか上を通過し、均衡を破る先制の3ランに。ベンチ、スタンドが歓声で沸く中、笑顔でダイヤモンドを1周した。「ホームランを打ったことがないので、みんなビックリしていました。父と監督の誕生日に打てて良かった」。忘れられない記念弾となった。

少年時代は親子二人三脚で努力を積み重ねた。父が監督を務める六戸スポーツ少年団(青森)で、早朝から夜遅くまで野球漬けの日々。「父は鬼でしたね(笑い)。結果を出しても褒められることはなく、課題を指摘されてばかりでした」。親元を離れて青森山田中に進み、中高6年間野球に打ち込める環境が整う強豪の門をたたいた。

「親のありがたみを感じるようになりました。両親には6年間迷惑もかけてきたので、しっかり結果で応えたい」。ホームランボールは「(誕生日)おめでとう。今までありがとう」との言葉を添えて、父に手渡すつもりだ。正捕手としても5試合すべてに先発出場し、許したのは3失点のみ。「投手とのコミュニケーションは大事。1人1人の特長を生かせるように、配球はしっかり考えていきたい」。プロ注目の小牟田龍宝(3年)を筆頭に、総合力の高い投手陣をまとめ上げ、3年ぶりの頂点まであと1勝だ。【佐藤究】