前日7月31日に勝利まであと1死のところで降雨ノーゲームとなった天理が、一条を10-0の5回コールドで下した。前日の試合で左肩を脱臼した主将・下林源太内野手(3年)の3ランなど3発が飛び出し、4強に進出した。

   ◇   ◇   ◇

夏の青空となった佐藤薬品スタジアムに豪快に3本のアーチをかけた。前日は7回2死、6-0リードで降雨ノーゲーム。もどかしい思いを一夜明けて放出した。まずは初回。1死走者なしから2番・山元太陽捕手(3年)がバスター打法から左翼席へ先制ソロをたたき込んだ。前日は6回に幻の本塁打。再試合の第1打席ですぐに取り戻した。「昨秋からバスター打法にしたら調子の波がない」と内角の直球をしっかりとらえた。

2回に4点を奪い、3回は1点追加してなお2死二、三塁で1番の主将下林源太内野手(3年)がカーブを豪快に右翼席へ。3ランに何事もなかったような涼しい顔でベースを1周したが、前日は一塁へ帰塁した際に左肩を脱臼していた。「脱臼するクセがあるんです。自分の肩が肩じゃなくなる、身動き取れなくなる感じなんですが、昨日も自分で入れました」。11日には念願の甲子園で交流試合の広島新庄戦が控えており、首脳陣から無理に出場することはないと言われていたが、“自己治療”でグラウンドに立った。「いけると思った。試合に出たらアドレナリン出るので」。試合後は左肩にアイシングしながらケロリとした顔で言った。168センチの小柄な主将は持ち味のガッツで2安打4打点の大活躍だ。

3発競演の締めは4回、3番河西陽路(ひろ)内野手で、ソロを右翼場外へ運んだ。「ずっと打球を見てました。気持ちよかった」と完璧なアーチで10点目を奪った。昨秋近畿王者になった打撃力は健在で、ベスト4に進出。秋は奈良3位だったが、奈良1位まであと2試合だ。【石橋隆雄】