北北海道大会は5日、開幕した。旭川実が滝川を15-0の7回コールドで下し初戦を突破した。先発した右腕、田中楓基(2年)がプロ5球団のスカウトたちが視察する中、自己最速の147キロをマーク。4回を投げ1安打7奪三振無失点の好投で勝利に貢献した。釧路湖陵、帯広大谷も準々決勝進出を決めた。

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旭川実の背番号18、田中が旭川スタルヒンのマウンドで躍動した。4回を投げ無失点。打たれた安打は1回に先頭打者に許した1本のみ。自己最速を1キロ更新する147キロを計測したが「いつも通り投げられたかな。球速というよりは抑えられるように」と白い歯をみせた。

毎回の7奪三振で滝川打線を寄せ付けなかった。1回2死で3番藤岡に投じた2球目と、2回先頭の磯貝を中飛に抑えた2球で147キロをマークした。「2回までは攻撃にリズムをつけるために上げていった。3人で抑えるということを意識した」。140キロ台の直球と変化球を軸に打者を手玉にとった。

これで地区大会から2試合に登板し、計7回を無失点。広島、西武など5球団のスカウト陣が視察に訪れた中で好投した。中日の八木智哉スカウト(36)は「おもしろい。ポテンシャルの高さを感じました」と今後の飛躍を期待した。

この夏を迎える前にケガを経験していた。6月上旬に痛みを覚え、病院の検査で股関節恥骨の疲労骨折が判明。本人は「びっくりしました」と言うが、走り込み以外はこなすことができ、投球練習もできた。坂口新監督(36)は「万全ではないですけど、問題なく投げられている。去年に比べても大きく腕を触れるようになってきているので楽しみ」と話した。

新型コロナウイルスによる自粛期間中、幼なじみで強豪大阪桐蔭に進学した松浦慶斗から刺激を受けた。松浦の帰省中にはキャッチボールをする機会もあり「すごく大きい存在」という。自身の今の目標も明確だ。昨秋の全道大会では、優勝した白樺学園に2回戦で敗れた。「白樺に勝って優勝したいというのがある。それまでしっかり残って最後は勝って終わりたい」とリベンジを誓った。【山崎純一】

○先制打含む2安打3打点の旭川実・菊地 田中がテンポよく投げてくれたので打線もリズムに乗れた。北北海道で一番になるまで負けられない。