東西決戦は、西の勝ち! 全国高校野球選手権の代替となる都道府県独自の大会が10日、各地で行われた。東京は東西優勝校による東西決戦が行われ、東海大菅生(西東京)が帝京(東東京)に逆転サヨナラ勝ちした。夏の東京NO・1が決まったのは選手権の代表校が東西に分かれる前の73年以来47年ぶり。群馬は桐生第一、長野は佐久長聖、愛知は中京大中京、岡山は倉敷商が優勝した。

   ◇   ◇   ◇

サヨナラの打球が中前に落ちると、東海大菅生ナインは一気に飛び出した。本塁付近に集まり、人さし指を突き上げる。9回に同点の2点適時三塁打を放った森下晴貴外野手(3年)は「西東京の決勝はサヨナラでタイミングがなかった。今日はサヨナラでもやろうと、みんなで話してました」とニッコリ。有言実行の劇的勝利だった。

特別な大会に3年生主体で臨むチームもある中、実力主義を貫いた。先発9人中、3年生は4人と少数。だが、最後は3年生が決めた。8回まで帝京・田代に1安打無得点。2点を追う9回の攻撃前、若林弘泰監督(54)は「3年生が意地を見せてこい」とハッパをかけた。無死一、二塁となり、森下は「バントだと思いました」。だが「同点狙いでいくと、よくて同点。逆転しないと」と若林監督。上級生のプライドをくすぐりつつ、森下にかけた。左中間フェンス直撃打で田代を下ろし、なお無死満塁で同じく3年生の臼井直生捕手が決めた。

甲子園中止直後、若林監督は「こういう時、どう振る舞うかが今後を決める」と部員たちに伝えた。優しい言葉は皆無。大会中も、ふがいない試合に「悔しかったら優勝してみろ!」と一喝。その通り優勝した選手たちに「すいませんでした」と優しく笑った。勝って、むせび泣く選手も多かった。森下は「甲子園、行きたかったです。でも、東京で一番長い夏を過ごせました。運が悪いとは思いません。他にない大会で優勝できて良かった」と胸を張った。【古川真弥】