<甲子園高校野球交流試合:履正社10-1星稜>◇15日◇甲子園

甲子園交流試合を日刊スポーツの評論家がプロの目で逸材をチェックする「プロ目線」に桧山進次郎氏が登場です。

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9回の最後の打席は、本当に親譲りだなと思いました。履正社・関本君の打撃です。強烈なゴロの右前打は、さすが、右に打つミートポイントができている。父のセキ(関本賢太郎氏)は僕と阪神で同僚でした。関本君のバットを高めに持つ構えは、セキが1軍で本格的に活躍し始めた頃に似ています。

ただ、右投げ右打ちは高校生だとどうしても右手が勝る。左手でリードすることを覚えると内角のさばきもうまくなる。うまく打とうとしている印象もある。ガンガン振っていけばいい。軸回転で引っ張るスイングができれば大きく育つでしょう。

高卒捕手なので、肩がどれだけ強いかが、プロ入りの評価になる。二盗を3度刺し、いい球を投げていた。肩が強いのは特権。6回1死一塁では逆手で捕る体勢からアウトにしました。どんな体勢でもストライク送球できる強みがある。本当に、今後が楽しみです。

履正社・小深田君はスイングの迫力がすごくある。8回の中飛は評価したい。左投手に2度凡退したあと、3度目は逃げていく変化球に体を残して右半身も開かず打てていた。木製バットもすぐ慣れるんじゃないか。バットのヘッドがしなって出てくる感じがありますからね。星稜・内山君はヘッドを立てて打つ打者。9回の左飛は本塁打かという当たりで、いい角度で打球が上がるのは持って生まれたものです。フライアウト3つでしたが、打球が上がるし、今後もクリーンアップを打つタイプ。手首が強い印象もある。体の強さはこれからですが、素質の高さを示したと思います。

3人に共通するのは、コロナ禍で好投手と実戦で勝負する機会が少なかった影響があるということです。変化球の曲がり幅を読んだり、タイミングを計ったり、狙い球を絞ることなど、細かい部分でもっと精度が上がれば、さらにいい打撃内容になるでしょう。(日刊スポーツ評論家)