昨夏の苦い思いは、払拭(ふっしょく)できなかった。日大藤沢・牧原巧汰捕手(3年)は「(東海大)相模と戦うためにここまでやってきたけど」と唇をかんだ。昨夏の神奈川大会決勝。東海大相模に1-24で大敗。2年生ながら先発マスクをかぶった。「あの試合で、ニチフジの歴代の捕手は“愛情”を大事にして来たと知った。自分は、投手への愛情が足りなかった」。

この日も先発、2番手は2年生。下級生が気持ち良く投げられるように、間を取ったりタイムを取ったが、流れは変えられなかった。3回には「1秒8」のタイムから目の覚めるような送球で、二盗を刺した。目標の「プロ」への素質が垣間見えた。コロナ禍で甲子園を断たれ、東海大相模との雪辱戦もかなわなかった。「愛情」を注いだ後輩に後を託し、自らはプロを目指す。【玉置肇】