宮城県高野連は21日、多賀城市内で秋季高校野球宮城県大会の組み合わせ抽選会を行い、準々決勝以降の計8試合を有観客試合にすることを発表した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今夏の独自大会は各都道府県すべて無観客開催。各高野連で有観客を検討している地区もあるが、正式決定は初となった。感染予防対策を考慮し、例年行ってきた各地区予選は中止。いきなりの県大会トーナメント方式で71校63チームが参加して、上位3校に与えられる東北大会(10月14日開幕、宮城)出場権を争う。

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宮城県高野連が「高校野球ロス」解消の一手を打った。各地区予選を中止して、夏と同じ、全県でのトーナメント方式となったが、準々決勝以降を有観客試合とすることと決めた。同高野連の佐藤貴志事務局長は「東北6県の理事会で東北大会を有観客でやる方向で決めている。今年の秋は宮城開催なので、このテストの意味合いもあって試験的にやってみることになりました」と説明。プロ野球、大学野球に続き、高校野球ファンの生観戦が戻ってくる。

準々決勝が行われる仙台市民球場と石巻市民球場は最大3000人。決勝と3位決定戦の楽天生命パーク宮城は最大5000人の観客を入場させる。入場料は大人600円、シニア300円の予定。検温や住所や氏名を含めた身分証明なども徹底する。吹奏楽部やチアなどの応援は引き続き禁止だが、控え部員らの手拍子はOK。1、2年生の保護者も基本的には部員1人につき2人だが、最大4人までに拡大。3年生部員の入場も認められる。

選手や球場内のコロナ対策は厳重に継続する。試合中以外のマスク着用徹底は当然。滑り止めに使用するロジンバックは各チーム専用にして両チームの投手で共有しない。ベンチ前での円陣も大声を禁止するなど、細かな“コロナルール”も適用する。

東北では独自大会や東北大会などがテレビ放送され、人気を博した。SNSでは「早く高校野球の興奮を生で味わいたい」などの声も多数。来春センバツ開催は未確定だが、甲子園につながる大会が再開する。高校野球が見られる日常も、ようやく1歩踏み出した。【鎌田直秀】