日大山形が初戦の2回戦で弘前学院聖愛(青森)に5-3と逆転勝ちした。「2番三塁」秋葉光大内野手(2年)は、高校初本塁打を含む4安打1打点の活躍。昨春の東北大会初戦で1-13とコールド負けを喫した相手にリベンジも果たした。3年ぶりのセンバツ切符獲得に向けても好発進し、17日の準々決勝では東北(宮城)と対戦する。昨秋王者の仙台育英(宮城)は初出場の湯沢翔北(秋田)を7-0の8回コールドで退けて8強入り。同準優勝の鶴岡東(山形)は2-7で花巻東(岩手)に敗れ、1回戦で姿を消した。

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秋は秋葉の季節だ。1点を勝ち越した直後の6回表。1-1からの直球をフルスイング。「体が勝手に反応して、当てたら飛んでいった感じ。練習試合を含めても初めてのホームラン。何が起こったか分からなかったけれど(ダイヤモンド1周は)気持ち良かったです」。無意識で何度も右手を突き上げた。本塁で迎える仲間とハイタッチするころには、高揚して顔も真っ赤に。12日のティー打撃練習中にボールが跳ね返って負傷した左目上の傷も紅潮していた。

2番打者のつなぐ使命も果たした。序盤に3失点したが、3回に遊撃内野安打で出塁し、盗塁後に反撃の1点目生還。「後ろに良いバッターがいるので、一、二塁間にゴロを打つイメージで練習していた成果が出た」。すべて引っ張ったサイクル王手の4安打には苦笑い。荒木準也監督からも「長打を打つ打者ではないので、忘れてもらって次からはセンター返しで」とかぶとの緒を締められた。

チームNO・1のモテ男でもある。正直、イケメンかと言われれば、そうでもない。だが、優しさが女子生徒の心をつかむ。男女問わず、明るい笑顔で接し、重い荷物を持つ女子がいれば、さりげなく手を差し伸べる。「困っている人を助けてあげれば、みんなが笑顔になれる。運も引き寄せられるかもしれません」。この日はバットで仲間の笑顔を引き寄せた。

「りんごっ子」として13年夏に甲子園で勝利した経験を持つ弘前学院聖愛に、昨春の雪辱を果たした。秋葉は、さくらんぼ日本一の里にある寒河江ボーイズ出身。「果物では、さくらんぼが一番好きです」。実りの秋が始まった。【鎌田直秀】

▽弘前学院聖愛・松坂映杜主将(2年=バッテリーエラーが失点につながり)「1つの失敗からヤバイと思って、切り替えられずにズルズル引きずってしまった。気持ちの部分で成長していきたい」