東海大甲府がサヨナラ勝利で東海大相模とのタテジマ対決を制し、5年ぶりのセンバツ出場をほぼ確実とした。

東海大甲府は1点ビハインドで迎えた9回裏。1死一塁から猪ノ口絢太外野手(1年)の左前打で一、二塁とすると、久井竣也内野手(2年)が外の真っすぐを右前へ。打球は右翼手の前で大きくバウンドが跳ね打球を後逸。記録は右越え三塁打となり、2者生還し逆転サヨナラ。神奈川県5季優勝の東海大相模を破り、選手たちはうれし涙を流した。

サヨナラ打の久井は「打った瞬間、ランナーがかえって欲しいと思って走りました。これまでになく、うれしい感情が込み上げてきました」と喜びをかみしめた。

24日の初戦を勝利し、準々決勝の相手が東海大相模に決まると、投球テンポが速い東海大相模のエース・石田隼都投手(2年)対策として、打撃練習で速く振る練習に取り組んだ。「打ち急がずに、自分の間でしっかり振ることを心掛けた」と、久井は石田の真っすぐをしっかりと捉えた。

投げてはエースの若山恵斗投手(2年)が5安打3四球で、再三走者を背負いながらも、スライダーと80キロ台の遅いカーブで緩急をつけ、要所で打たせてとった。若山は「速い球はなくとも、丁寧に投げたら抑えられる。それで打たれたら仕方ない、と割り切って投げました」と胸を張った。

若山の粘りの投球が打線に火をつけ、一瞬の好機を生かした東海大甲府。東海大相模のOBで93年まで監督も務めた村中秀人監督(62)は「よりにもよって母校と対戦するなんて。タテジマでもよりによって相模かと。でも、今日は選手たちの粘りはすごいなぁと思いましたね」と選手たちの活躍に目を細めた。

負けた東海大相模は、これでセンバツ出場が難しくなった。門馬敬治監督(51)は「粘り負けした。こういう試合展開は負けている方が強い」と振り返り、完投したエースの石田隼都投手(2年)に対しては「よく粘ってくれたが、来年は勝つ投手になって欲しい。それが本当のエースだから」と期待を込めた。