ひと足早く春が来た! 第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が29日、リモート形式で開かれ、三島南の春夏通じて初の甲子園出場が決まった。最後は委員会内での決選投票の末、2014年(平26)冬から取り組む野球普及活動が評価された。21世紀枠での選出は、県勢初。三島市からのセンバツ出場は、1984年(昭59)の日大三島以来、37年ぶり。同市内の公立校としては、初のセンバツ切符を手にした。組み合わせ抽選会は、2月23日にオンラインで行われる。

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午後3時32分、三島南の持山育央(やすひろ)校長(52)の元に吉報が届いた。創部100年。野球部の歴史に新たな1ページが加えられた瞬間だった。持山校長からの報告を受け、伊藤侍玄(じげん)主将(2年)は「甲子園では恥ずかしくないプレーができるように、一生懸命頑張ります。応援をよろしくお願いします」と力強く誓った。

伝統と未来。選手たちは、この2つを背負って聖地に立つ。稲木恵介監督(41)は、ナインに「先輩たちの100年分の思いが、やっとかなった」と声をかけた。続けて、これまで通算31回の野球交流会で触れ合ってきた延べ1133人の児童たちについて語り、「みんなが、甲子園での君たちのプレーを楽しみにしている。100%の力を出し、良いプレーができるように頑張ろう」とゲキを飛ばした。

伊藤は、今回の発表が迫ってきた最近1週間を振り返り、「短く感じた」と、ため息をついた。発表直前の28日夜は、緊張のあまり寝付けなかった。「5回ぐらい起きちゃいました」と笑ったが、すぐに意識を切り替え「試合では相手に必死にくらいつくしかないと思うが、足や頭を使ったプレーでチャンスをつかみたい」と意気込んだ。

主砲・前田銀治投手(2年)は「本塁打を3本打ちたい」と気合十分。夢にまで見た大舞台に向けて、闘志をみなぎらせる。伊藤は「甲子園で自分たちの野球ができるように、本番までの残り2カ月で仕上げたい」と前を見据えた。昨秋県大会準々決勝で甲子園常連の名門・静岡高を退けた実力を、甲子園で披露するつもりだ。【河合萌彦】

◆21世紀枠 01年から導入。推薦校は原則として秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟129校以上はベスト32以上)から選ぶ。練習環境のハンディ克服、地域への貢献など野球の実力以外の要素も選考条件に加える。07年まで2校、08年から3校を選出(85回記念大会の13年は4校)。今回は明治神宮大会中止に伴い神宮大会枠がないため、21世紀枠を増やして4校とした。

 

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