名伯楽が1勝を目指す。初のセンバツ出場を決めた専大松戸(千葉)の持丸修一監督(72)は「強い学校じゃないのでね。優勝とかじゃなくて。なんとかぜひ、校歌を歌いたいし、校旗を揚げたい」と、学校としての甲子園初勝利を目標に掲げた。茨城の竜ケ崎一、藤代、常総学院を率いた。経験豊富な監督は「県3位からの甲子園なんて本当にラッキー。みんなで喜べる甲子園にしたい」と話した。

狙うは下克上だ。関東大会は開催県枠の3位で出場。「弱いんだから、勝つなんて考えなくていいって言いました」。1つになったチームは快進撃でセンバツ当確の4強を決めた。「ウチはプロにいけるような打者も投手もいない。普通の高校生。それが、騒がれているような選手のいるチームと対戦するのは本当に大変。関東大会の時と同じように戦いたい」。弱さの自覚から生まれる強さを引き出す考えだ。

かつて、しのぎを削った監督には鬼籍に入ってしまった人もいる。「上甲さん(元宇和島東、済美)とかもね。みんな亡くなるか辞めるかしてしまった」。昨年は常総学院の監督だった木内幸男氏も亡くなった。「まだ野球をやってるっていうのが恥ずかしいというのもあるけど、3、4歳上の理事長さんが一緒にやろうよって言ってくれている。そういうのを支えにしている。でも72歳。辞める時期を失ってしまった感じですね」。

そう言いながらも、球児たちを見つめる情熱に衰えはない。「ウチは弱いです。でも、やる気がある。不平不満がない。昨日、子どもたちに聞いたんです。そしたら全員が野球やってて良かった。この学校に来て良かったって」。持丸監督が作り出すワールドに、選手たちが入り込んでいく。

 

センバツ出場32校決定/学校メモ付き一覧