大阪桐蔭・関戸康介投手(2年)の魅力を端的に表す言葉がある。西谷浩一監督(51)は「球のスピードは松浦よりもあると思う」と評した。最速154キロ。高校生では、なかなか出ない球速をたたき出したのは昨夏の大阪府独自大会だった。一躍、評価を高めた。

まだ背番号1に届いていない。エースの重責は左腕の松浦が背負ってきた。関戸は「自分にとってとても大切な存在。自分を成長させてくれる存在」と話すが闘志を秘める。昨夏の甲子園交流試合の東海大相模戦は登板機会なし。まだ甲子園のマウンドに立っていない。「自分のなかで投げたい気持ちはもちろんありました。投げられるだけの実力や自信が備わっていなかったと自覚しています。実力や自信をつけていって、交流試合、秋の大会の悔しさを春のセンバツにぶつけたい」と胸中を吐露した。

故障が多く、昨秋の近畿大会は2試合4イニングの登板にとどまった。智弁学園との決勝も課題の制球で苦しんだ。「制球力が安定してくれば、自分の持ち味のストレートが生きてきます」と言い聞かせる。冬は制球を安定させるため、走り込みなど下半身の強化に明け暮れた。西谷監督も指摘する。

「いろんなところをケガして、まだ、しっかりと経験を積むところまではいけていません。ケガで出遅れたりした分の経験をしっかり積んでいけば、もっと大きな投手になれると思います。スケールの大きな投手になってもらいたい」

メディアがセンバツ用に託したアンケート用紙には、力強く端正な筆致でプロフィルをつづった。尊敬する人物を「野茂英雄さん」と書いた。「ああいう未知の世界に飛び込んでいく自信や気持ちは自分もすごく見本や尊敬している」。日本人大リーガーの活路を切り開いた伝説の剛腕に憧れている。ライバルと問うと、さらりと言う。「いや、ライバルはいません。自分としっかり向き合って。ライバルはいない」。浮足立つことなく、ドッシリ構える。選抜、そして夏へ。ひたすら自分を磨く1年になる。

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