春9度の優勝を誇る東海大札幌が、2年生バッテリーの躍動で強豪対決を制した。

昨秋全道8強の駒大苫小牧を2-1で下し、13年ぶりの優勝に向け初戦を突破。左腕エース門別啓人が6安打1失点完投で、唐川侑大捕手の中越え本塁打で挙げた2点を守り切った。開幕戦では札幌静修が、公式戦初先発の常谷拓輝投手(3年)が3失点完投で7年ぶりの全道1勝。北照は士別翔雲を破った。

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2年生バッテリーの活躍が際立った。まずは女房役の唐川がバットでみせた。1回2死二塁。先制の好機で、やや真ん中に入ったスライダーを迷わず振り抜いた。「とにかく来た球を思い切り振ることだけを意識していた」。打球は中堅バックスクリーンへ。自身公式戦3本目、高校通算5本目のアーチに本塁を踏み、ベンチへ向かって喜びを爆発させた。

投げてはエースの門別が序盤からテンポのいい投球で試合をつくった。「自分でもストレートが走っていると思ったし、変化球も低めに決まっていた」。5回まで許した安打はわずか2本。コースに投げ分け、低めにボールを集めた。6回に1点を失い、なおも2死一、三塁とピンチを背負ったが冷静に後続を抑えた。9回123球7奪三振の熱投だった。

2人は小学時代から球友として戦ってきた。小学6年だった16年、ともにファイターズジュニアのメンバーに選出されている。門別は日高町、唐川は旭川市の出身で、今は地元を離れて寮生活を送る。食事や入浴のほか、学校でもクラスは違えど、常に一緒にいて野球談議や趣味の話で盛り上がる。門別は「寮でもすごい親しい仲なので(グラウンドでも)守ってくれるという信頼がある」と、絆は深い。

大脇英徳監督(45)は「練習通り今日は1番いい場面でナイスバッティングだった」と唐川の先制弾をたたえ、門別の投球には「ピンチの場面でも落ち着いて投球ができた」と評した。チームは東海大四時代に春9度制覇も、16年の現校名に変更後は3季通じて道大会の頂点にたどり着いていない。次の札幌静修戦に向け、唐川は「気持ちをゆるめずに全力でチームに貢献できるように」と気を引き締めた。【山崎純一】

◆東海大札幌の春全道 北海の最多11度に次ぐ9度の優勝を誇る。全道制覇はすべて前校名、東海大四時代で2度目の出場だった76年に初優勝を飾り、最新は08年。93年からは3連覇を達成した。現校名に変更後の最高成績は16年ベスト4。

○…駒大苫小牧は19年に続く春王者を狙ったが、初戦で姿を消した。先発した背番号11の林勝宏投手(3年)が、「初回が課題」と話すように1回にいきなり先制2ランを被弾。6回に1点を返したが、最後まで主導権を握れなかった。佐々木孝介監督(34)は「全然ダメですね。野球の前の準備力の問題」と話した。