第103回全国高校野球選手権(8月9日開幕、甲子園)の北北海道空知、北見、名寄、南北海道函館、小樽地区の組み合わせが17日、決まった。昨年、道高野連独自開催の北北海道大会を制したクラークは、空知地区初戦(2回戦)で砂川・月形・夕張の連合チームと対戦する。昨夏の甲子園はコロナ禍で中止。先輩たちの思いも背負い、16年以来の聖地を目指す。

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優勝しても甲子園に立てなかった先輩たちの無念を晴らす。昨夏の北北海道大会は三塁手として優勝に貢献したクラーク主将の山田晴陽二塁手(3年)は「何としても北大会で2連覇して、先輩たちに『甲子園を決めました』と報告をしたい」と強い口調で話した。

全部員が寮生活を送る。昨夏の北大会決勝後、グラウンドでは歓喜も、寮に帰って現実に引き戻された。北大会全4戦に出場し18打数11安打10打点、打率6割1分1厘の奮闘を見せた佐藤寛太右翼手(3年)は振り返る。「寮で(当時の)3年生たちが『優勝したけど甲子園には行けないんだな』と肩を落としていた姿が忘れられない」。北大会後の甲子園交流試合はテレビ観戦。同じ北北海道勢の白樺学園、帯広農を応援しながらも、どうしても消えなかったもどかしさを、この夏、勝って振り払う。

悔しさを知る先輩との生活で、気づいたこともあった。5月から約1カ月、今夏から米国に野球と語学留学する野坂竜之介前主将(18)が、チーム練習に加わった。寮でも一緒に生活。春季全道大会での動画を見た野坂からは「声が少ない。苦しいときこそ声を出そう」と指南された。守備の要、小浜優人捕手(3年)は「自分たちに足りないものがわかった。しっかり頭に刻み、結果で恩返ししたい」と気を引き締めた。

昨夏、ベンチから外れ歯がゆい思いをしていた現エースの菊池伶(3年)には、強い覚悟がある。1年夏の北大会決勝(旭川大高戦)は4回に登板も2/3回2失点降板。「2年前は先輩たちの足を引っ張り去年は出番もなかった。最後の夏こそ、力になりたい」。クラークは18、19年決勝敗退、20年は北大会優勝もコロナ禍で甲子園切符はなし。4学年分の思いを、今度こそ形にする。【永野高輔】