41年ぶりの夏の頂点を目指す国立(西東京)には、選手を支えた監督からの“贈り物”があった。1月、緊急事態宣言の影響で部活動停止が決定。中村優介監督(24)は、すぐさまパソコンに張り付いた。

「この期間をたたき台にして頑張ってほしい」。部員1人1人に内容を書き分けた1枚の“野球参考書”を配布。「体側にバットを引くクセが出ないように」など打撃、投球、身体の強化点をアドバイスした。最後には「この高い壁を乗り越えれば、大きく大きく成長できるはずです」など、選手を思うメッセージもそれぞれ添えた。

全体練習は4月に再開。3年生のモチベーションを心配したが、4番の金沢桂舟(けいしゅう)捕手(3年)が決める練習メニューを元気いっぱいに消化する姿に「彼らにとって、こんなにも野球の存在が大きいんだと再認識させられました。これで夏に向かっていけると確信しました」と安堵(あんど)した。

国立は、昨年度の国公立大合格者数が213人(既卒含む)の進学校。金沢も東大が第1志望で「勉強は野球がある分、ノートの取り方を工夫して短期集中で行ってます」とどちらも懸命に取り組む。夏の大会の躍進と東大合格の夢を「絶対にかなえます」と力強く誓った。【阿部泰斉】