昨夏の道高野連独自大会で南大会4強入りした札幌大谷が、初戦で千歳を10-0の5回コールドで下した。

4回2死満塁で、天野凰介左翼手(2年)が左越えに満塁弾を放つなど、この回だけで3本の本塁打を放ち一挙7点。11安打で10得点と効率よく得点を重ね、大勝した。好発進の18年明治神宮大会王者が、夏は初の聖地を目指す。

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札幌大谷が、ド迫力の1発攻勢で初戦を突破した。2-0の4回。先頭で飯田星哉三塁手(2年)が中越えソロ。2死二塁から丸山雄大右翼手(2年)が左越え2ランを放つと、とどめは天野だ。2死満塁で「前の打席で併殺打に倒れていたので、何としても1本打ちたかった」。変化球を振り抜くと、打球は左翼スタンドへ一直線。豪快なグランドスラムで9点差に広げ、勝利を引き寄せた。

昨秋は地区初戦で東海大札幌に3-10の7回コールド負け。今春は地区3回戦で、センバツに出場した北海に0-4。プロ注目の左腕木村大成(3年)相手に、3安打完封負けを喫した。2季連続で地区突破を逃しており船尾隆広監督(50)は「選手の、夏にかける思いは相当強い。何とか、まずは南大会に出られるように」と話した。

打線の軸も帰ってきた。3月の練習試合中に右膝を亜脱臼し、春はメンバーから外れた石鳥颯一塁手(3年)が5番一塁で復帰。3回1死満塁で中前適時打を放ち勝利に貢献した。兄亮(国学院大2年)は19年センバツ出場時の主砲。石鳥は「6月に復帰したときに兄から『思い切って力を出してこい』とエールをもらった。この夏にかけたい」と強い口調で話した。

飯田の兄柊哉(札幌大谷大2年)将田明基主将(3年)の兄勝基(東農大2年)も19年センバツメンバー。札幌大谷中3年時に聖地で応援した石鳥は「僕らも、あの舞台に立ちたいと、みんなで話してきた。春出られなかった悔しさを晴らしたい」。18年明治神宮大会を制した最強の兄を持つ弟たちが、次は悲願の夏切符を狙う。【永野高輔】

▽5回10失点の千歳・中村亮太投手(3年) 右肘靱帯(じんたい)損傷で冬場にしっかり投げ込めなかったが、肘に負担がかからないフォームを身に付け夏に臨んだ。勝てなかったが、秋の全道も経験でき、楽しい3年間だった。