知内が3時間22分の死闘を制し、南大会進出を決めた。タイブレークに突入した延長13回表2死満塁、丸田大稀三塁手(3年)が走者一掃の左中間適時三塁打。それまで6打席無安打だった背番号5が、値千金の決勝打を放った。「取られるかと思ったが抜けてくれて良かった」。ベンチに戻るとチームメートに「打つのが遅くなってごめん」と謝罪した。

冬から春にかけ、立て続けに悔しい思いを味わってきた。昨秋の全道大会で4強に進出。12月にセンバツ21世紀枠候補に選ばれるも1月に落選。ショックを振り払い挑んだ今春は地区で函館工に敗れ、全道大会に出ることができなかった。主将の河村亮太右翼手(3年)は「基本的なことからやり直さないといけないと思った」と、全員でグラウンドや寮の便所掃除を行い、気持ちをリセットさせるところから始めた。

吉川英昭監督(45)は「春は中途半端な感じで入ってしまった」と反省。もう1度、挑戦者としての心構えを身に付けるために<1>小さなことをサボらない<2>気付く力を落とさないこと、の2つのテーマを掲げた。雑になっていたグラウンド整備や用具の整理を見直すことで心を磨き、逆襲への土台を立て直してきた。

丸田は「21世紀枠の落選や、春の敗戦があって良かった。あの経験があったから、今日の試合で、ぎりぎりまで焦らず、我慢して戦うことができた。次は南大会。今度は勝って甲子園に行きたい」。実力で聖地への切符をつかみ取る。【永野高輔】

▽函館中部・長谷奎弥(3年)(10回から2番手で登板) 最後は自分が(タイブレークで)失点し、打撃でも最後の打者になってしまった。悔しいけど、やり切った。