逆襲の夏が幕を開けた。昨秋の雪辱を期す福島東が平商を16-0で下し、5回コールド発進。「6番投手」で出場したエース右腕、鈴木征士朗(3年)が3回をノーヒット投球。打っては適時打2本を含む3打数2安打4打点の大暴れで、チームに「夏1勝」をもたらした。

鈴木征がエンゼルス大谷翔平投手ばりの“二刀流”を披露した。キレのある直球を軸に、3回を無安打無失点。得点圏にすら走者を背負わなかった。「真っすぐの状態が良かったので押していくことができた」と胸を張った。打っては初回に2点適時三塁打、続く2回にも2点適時二塁打を放ち、5回コールド勝ちに貢献した。「大谷(翔平)さんのような活躍がしたいと思っていた。チームが勝ててホッとしている」。

最後の夏を見据え、前を向き続けた。昨秋は県大会準々決勝で福島商に2-27の記録的大敗。春の雪辱を誓い、冬は体力づくりから取り組んだが、春の県大会は学校の判断で出場辞退を余儀なくされ、一冬の成果を試す機会が失われた。「かなり落ち込んだ。実戦経験が積めなかったけど、夏に懸ける思いは強くなった」。佐藤孔明主将(3年)を中心に話し合いながら、チームのモチベーションを高めていった。

チーム目標は「シード校撃破」を掲げる。順当に勝ち上がれば、3回戦で第3シード学法石川と戦う可能性がある。鈴木征は「目の前の試合に集中して、1戦1戦勝ち上がっていく」。投打の“リアル二刀流”で長い夏にする。【佐藤究】